『社会学年報』に論文が掲載されました

『社会学年報』第47巻に論文『高校進学における学校外教育の効果――低階層の子どもたちの教育達成――』が掲載されました.この論文は2017年に東北大学文学部に提出した卒業論文に大幅な加筆修正を加えたものです.執筆の際は,指導教官の永吉希久子先生をはじめ,行動科学研究室の佐藤嘉倫先生,木村邦博先生,浜田宏先生には有意義なコメントを多数いただきました.特に永吉先生には論文が掲載されるまで,査読コメントの方針等にも丁寧なアドバイスをいただきました.この場を借りて御礼申し上げます.本当にありがとうございました.本文自体はオンラインでまだ見れないのですが,以下に要約を示します.興味のある方は雑誌にてご笑覧下さい.

要約

本稿の目的は,学校外教育が出身階層の低い子どもたちの高校進学に与える効果を検証することにある.高校進学段階での教育達成に関する多くの先行研究では,進学校に進学したか否かで学校外教育の効果を測っているが,進学校以外の高校に進学するということも含めた教育達成は等閑視されている.また,教育における効果はどのサンプルでも一定であるという仮定をおき,個人の性格などの観察されない異質性も考慮しておらず,学校外教育の効果を十分に検討しているとはいえない.そこで本稿ではこれらの課題を克服するため,傾向スコアを用いて反実仮想的な状況を作り出し,進学校以外の高校(中堅校・進路多様校)への進学も含めた高校進学における学校外教育の効果を検証した.結果,通塾経験は進路多様校から進学校・中堅校への進学を促進させており,特に中堅校進学では親学歴の不利を埋めていた.また,親学歴が低い男性が家庭教師や通信教育を経験することで,進路多様校より進学校に進学しやすいことが示された.他方,女性では家庭教師経験や通信教育経験は親学歴の不利を埋める効果を確認することはできなかった.これらの結果により,学校外教育を経験することで進学率の高い学校に進学できる可能性が高まると部分的にいえる一方で,男女によって学校外教育の効果が異なることや学校外教育の種類によって学力を底上げされる層が違うことも示唆された.

Key Words】教育達成,学校外教育,傾向スコア

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください