ディスカッションペーパーが公開されました

東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクトのディスカッションペーパーシリーズにて,「いじめの経験割合,および被害者の属性:若年継続サンプルと若年リフレッシュサンプルによる比較」というタイトルのDPを執筆し,このたびHPに掲載されました.タイトル通りなのですが,このDPでは東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクトが実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」における「若年パネル調査継続サンプル」と「若年パネル調査リフレッシュサンプル」の比較を目的としています.いじめの認知件数は年々上昇しており,近年はネットいじめという新しいいじめも生じています.そのような中で,それぞれのコーホートにおいていじめと社会階層(出身階層)がどのように関連しているのかを検討しました.本文については以下のリンクにて参照できます.ご笑覧下さい.

https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/dp/

 

修論を執筆して(文系学生の場合)

約2年前(2019年1月)になりますが,修士論文を提出し,無事に修士(文学)の学位を取ることができました.

執筆前や執筆中に,先輩方のblogやTwitterを読むことが多く,参考になったので,自分も書き示しておきます.方法論的な話ではなく,かといって精神論でもなくあくまで体験談ですので,気楽に読んで下さい.

テーマ選び

僕が修士論文のテーマを決定したのはM2になってからでした.遅いですよね,多分めちゃくちゃ遅いと思います.遅いのには理由があって,当時の僕は,自分の研究テーマ(卒論から派生したテーマ)と,興味があるテーマの2つを研究していました.

前者は文化資本をどう身体化していくのかということに関してで,これが結構詰まってしまいました.M1の1年間,授業とバイトの合間に研究はしていたのですが,どうも変数社会学的な話にしか着地せず,また既存の研究のどの穴をつくのか,が曖昧で,結構やばい感じでした(それでもM1冬休み課題の修士論文計画書は文化資本の研究で書き上げました).

暗雲立ちこめていたので,M1終わりに少々これまでの研究を色々見直し,どうもサブテーマでやった方がいいのではないか,と考えるようになり,指導教員にOKをもらい,テーマを変更しました.これが多分3月くらいだったと思います.

今思い返せば,卒論も7月くらいにテーマを変えたマンだったので,当初の興味・関心とは違うことを卒論・修論ともにやっていることになります.そしてどうにかこうにか書き切ることができたので,やはり研究のテーマ探しというか,常にアンテナを張っておくのは重要だと今になって思います.もちろんやりたかった研究をやり通すことは大事だし,すごいことだと思いますが,もし詰まっていたら,特にM1の皆さんは少し周りを見渡して,興味がある別のテーマがあればそちらに移ってもいいのかもしれません.修士だと特に四六時中研究を(少しは)考えていると思うので,研究がうまくいかないと焦ってくるし,メンタル的にもよくないと思います.だから,そんなときは思い切って変えてみるのも手です.

一方で,遅くに変えれば変えるほどその後頑張らなければなりません.M1から同じテーマをやってる人とは研究時間が圧倒的に少ないからです.僕もM1終わりにテーマは変えたのはいいですが,それまでサブテーマでやっていたため,色々調べたりするのに時間がかかり,学振DC1は何をやりたいか曖昧なまま出してしまいました(学振については別に書いています).

レビューと分析

テーマも固まったら,レビューと分析の日々です.幸いサブテーマで進めていたため,それなりに先行研究はためていましたが,それでも少なかったので,ひたすら探して読みました.関連する最新の論文を探して,引用されてるものを辿っていく,いわゆる芋づる式に読んでいきました.日本におけるいじめ研究は査読付論文と同じかそれ以上に大学の紀要論文が多いように思います.多分私の引用文献の1/3は紀要論文が占めていると思います.いじめ研究は査読付と同じくらい紀要論文も多いです.そのためよく吟味した上で引用文献を付け加えていました.

文献集めで重宝したのはMendeley+Good Noteです.書き込んで読みたい+紙を多く持ち出したくない,ということで学部卒業+修士の合格入学祝いにiPad Pro 12.9インチにアプリを入れてパソコンと同期させて読んでいました.SONYの電子ペーパーもよさげなのですが,他にブラウザで使用したり,プライベートでは動画を観たりもしたかったので僕はiPadにしました.論文管理ソフトや管理方法も人によって様々ですので,色んな人の記事を参考にしたらいいと思います.

また,それと同時に学会発表の予定を入れながら,分析を進めていきました.分析の大枠が決まったのは前期の大学院ゼミ後なので,6−7月だったと思います.そこでようやく,「あ,これは面白くなりそう」という手応えを感じてきました.データを手に入れて方向が見えたら学会報告のスケジュールは早めに入れた方がいいと思います,締め切りがあるとやらなきゃいけないと思うし,分析も進みます.また,博士への進学を考えている人は業績があった方が学振や様々な助成金の申請などで有利ですし,ネットワークも広がるので,できるだけ学会報告をしましょう.ただし文系の場合,学会の入会費・年会費・参加費を合わせた総額は高めなので,闇雲に発表申し込みをしすぎるとお財布が厳しくなってしまいます,そのあたりはこれだと思う学会で発表したらよいと思います.

分析について,データはOECDが実施しているPISA調査の2015年のものを用いました.データは公開されており,すぐに入手できたのは大きかったと思います.モデルについては海外の先行研究を参考にモデルを作成しました.ただし,院ゼミや学会発表にてモデルに投入している変数の操作化の不備を指摘されてたのでその都度適宜修正し,モデルの作成と分析自体は夏休み終わりくらいには終わらせました.

執筆

執筆は8月終わりから始めました.ただし,学会発表のための分析などを行っていたのでゆっくり書いている感じでした.しかし9月終わりに再会した同期に「ほぼ書き終わったよ」と発破をかけられ,そこから猛スピードで書き上げました.学会発表を行っていてある程度のシナリオは見えていたのですが,やはり実際文字に文章にするのは難しく10月下旬にようやく初稿を書き上げました.執筆の際に先輩の修論などはとても参考になりました.また,指導教員の先生は「書き上げた章から持ってきていいよ!」派だったので,ゴールが短く,環境面ではとても恵まれていたと思います.11月初めに初稿を提出し,そこからひたすら先生方の添削を受けました.指導教員と2-3回やりとりした後に他の先生方にも送りみてもらい,多くのコメントをもらい,また修正,を繰り返していました.最終稿を作ったのは年末ギリギリでした.また,修論を執筆する上で新たな疑問やこれからの課題が浮かび上がり,博士ではどういうことをやるかが明確になったように思います.

まとめ

ざっくりと,思い出したことを思い出したままに書いてみました.修論を書いていると精神的に辛くなってしまいますが,時にはアニメを観たり音楽を聴きながら進めていました(修論書けなくても死ぬわけじゃない,と言い聞かせたりしていました).また,進んだな〜と思ったら(修正をするためにも)1日おいてその間に日帰り温泉に出かけたりしました.執筆期間中は生活リズムがぐちゃぐちゃになりがちですができるだけいつも通りの生活を崩さずに書き上げることを目標にしていました.もしこれをたまたま寝る前に見つけた後輩の皆さんがおられたら,無理はせずに,しかし満足のいく物を書き上げられることを祈っています.ちゃんと寝ましょう!

第72回日本教育社会学会(200906)

9/5-6に開催されました,第72回教育社会学会大会2日目の社会階層と教育達成部会にて「いじめの経験割合,および被害者の属性の比較」というテーマで発表を行いました.多くの方にお越しいただき,有意義なコメントを多数いただきました.ありがとうございました.報告資料は以下の通りとなります.

配付資料

Windowsのパソコンでカメラが使えない場合の対処法

大学でPCサポーターをしているのですが,昨今の事情からオンラインでの会議や授業の開始にともない,パソコンでどのようにカメラを使用するのかの問い合わせを少々いただいていますので,ここに私が対応した例を共有いたします.どなたかお一人でも参考になれば幸いです.随時画像などを追加していきます.

 

 ・カメラが映らない場合

  −Windowsの設定→プライバシーにてカメラとマイクがオンに

   この場合は該当箇所の両方をオンにする必要あり.

  −Googleの設定を変更

   トラブルシューティングページを参照し,手順通りに実行

  −パソコンの既存アプリの制限を解除

   Lenovoの場合は,Lenovo Vantageを開いて設定を変える必要があります.

   インストールされていなくてもこのアプリをインストールすれば設定を変更できます.

 ・音声がない,と出る場合

  −デスクトップでマイクが内蔵されていない場合は映らないことがあります.

   映像のみでは映らないのでマイクを用意すると映るようになります.

 

学振DC2(社会学)の採用内定をいただいて 申請書の書き方など

昨年9月に令和2年度の学術振興会特別研究員(DC2)の採用内定をいただきました(面接免除).細目は社会学です.インターネット上には多くの書き方などが載っていますので,そちらを参考にしていただけるとよい申請書が書けると思いますが,個人的に書くときに大事だな,と思った点を記しておこうと思います.また,その他に文系の私が参考になったサイト・書籍なども書き留めておきます.思いついたことを思いついたままに書いているので,支離滅裂な文章で申し訳ありません.

0前年度(DC1)の不採用

前年度も学振に応募はしていたものの,不採用でした.細目は「教育社会学」で出しました.学振では不採用の際におおよその順位がわかります.A(不採用のうち上位20%以内),B(不採用のうち上位20%50%),C(不採用のうち上位50%に至らなかった)で表されるのですが,僕はBでした.また,評点結果(5点満点)もわかります.①から③の項目は5段階の絶対評価,④は①〜③を考慮した相対評価です.不採用の時の評点は,

  1. 研究者としての資質 3.67
  2. 研究計画 3.00
  3. 研究計画遂行能力 4.00
  4. 総合評価 3.17

でした.総合評価3.17は,評価基準的には「採用してもよい」にあたります.みていただければわかるように研究計画があまりうまくいっていませんでした.当時の申請書をみても,どこがゴールなのか,具体的にどのような研究を行うのかが明確ではありませんでした.そこでDC2では,研究計画をとくに練り直しました.

1申請に向けて

1. 1 書くまで

以上のようなことをうけて,修論執筆が終わり,口頭試問を終えた2月〜3月からゆるゆると書類作成を再開しました.ただ,2月は学会の報告の準備をしていたり,大学院プログラムに応募したり,さらには卒業旅行なども行ったりしていたので,実質的には3月中旬から始めたような感じです.所属している大学では学内の説明会などもあり,それに参加し,採用内定をもらった方からのアドバイスなども参考にしました.

DC1では研究計画に頭を1番悩ませました.というのも,DC1を申請するM2春段階ではどのように自分の研究を博士でも進めるのかが漠然としていました.しかし,修論を執筆したり,院試に向けて準備を進める上で,テーマや方向性が明確になりました.院試などがある方はそちらで博士の研究計画を聞かれることも多いと思います.そのような場合には積極的に先生や先輩から自分の研究計画を添削してもらうと学振でも(前年度よりは)書ける気がします.

1. 2 細分

また,方向性が決まったことで,細目を教育社会学ではなく社会学で申請しようと考えるようになりました.僕のテーマの場合は,社会学,教育社会学,教育心理学,犯罪社会学,子ども学,のどれでも(一応)申請はできると思います.このように研究領域が複数の領域・分野にまたがっている人はどの細目で出すのか多分幾ばくか悩んだことがあるかもしれません.「どっちで出そう?」と.僕はDC1では漠然と「このテーマなら教育社会学かなぁ」くらいで決めてしまっていたのですが,具体的な内容が固まって行くにつれ,「これは社会学にかなりよった研究になる」と考え,細目の変更も視野に入れていました.また,受け入れ予定の指導教官は社会学を専門としていました.どれくらい指導教官の専門性と受け入れ学生の分野・領域が影響を与えるのかわかりませんが,少なくとも方向性が社会学の階層論に絡んでいて,指導教官の専門とも合致するために,社会学で提出しました.結果的に採用内定をもらったのですが,もし細目で迷った場合は先生方などに聞いてみてもいいのかもしれません

1. 3 内容 

書き方ですが,DC2の際に特に気をつけたのは,「専門外の人でもぱっと見で何をやりたいか大枠がわかるか」です.よく「ゴールを明確に」,「何を明らかにできたら勝ちかがわかるように」というアドバイスを見ますが,本当にその通りだと思います.2-3年の限られた年月で,「どこに的を絞って」,「どのような実験・分析・研究を行い」,「どこまで明らかにするのか」がわかるような研究計画を書くといいと思います.審査する側もたくさんの申請書を読むわけです.例えば,高校生の小論文の添削バイトをやることになったとしましょう.何十枚も答案を読むのは大変ですし,ましてやそれに点数をつけるとなればなおさらです.しかし,そのような中で論旨が明快なものがあれば非常に読みやすく印象もいいと思います.申請書でも同じで,他の申請書にはないような,「おっ」と目を引くような,やりたいことがすぐにわかって,この研究は価値があるから思わず採用したくなる申請書を目指すべきです.

書き方についても他の方が色々書いているのですが,個人的には,最初に結論を述べてしまう,というのがわかりやすく,書いていても文章をまとめやすかったです.例えば「これからの研究」の箇所では「本研究の目的は、○○を明らかにすることにある。」という風に最初に1行書いておくと,以下でどのような内容が語られるのか想像しやすく,頭に入ってきやすいと思います.また,私の場合,略語や専門用語は初出時に正式名称を記載したり,簡単な説明を付け加えるようにしました.もちろん専門外の方が読まれるかもしれないということもありますが,この言葉はちゃんとわかってますよ,とアピールするのにも使えるのかなと思います.

[20200331追記]研究遂行能力についての検索が多いので追記します.自己評価の部分では様々なことを盛り込みました.例えば積極的に学会に参加していたり,社会調査の経験があったり,論文として成果を発表したり,などです.加えて学会の研究関連でのTAや調査の手伝いなどはもちろんのこと,部活での活動やそれによる経験など,自分にしかない能力があってそれが研究をする上でどのように役立つのかを書けるとよいと思います.

1. 4 見た目

書く内容が決まったら,ひとまず書き上げてみます.2でもあげますが,先輩方の申請書などを使ってとりあえず埋めてみましょう.そしてできれば一晩くらいおくと,客観的に自分の申請書を読めるはずです.どの人も言いますが,申請書は見た目が適度に綺麗である必要があります.図表を入れ,文字サイズを大きくし,余白を作りましょう.図表に関しては1ページ全てを埋める必要があるときには図表を入れていました(現在までの研究状況,これからの研究計画(2)).また,フォント等に関しては僕は,

  • タイトルなど:ヒラギノ角ゴPro N W6 12pt
  • 地の文:ヒラギノ明朝Pro N W3 11pt

を使用していました.どちらもMacに入っていた書体ですが,見やすい(気がする)のでこれを選んでいます.また,英数字はTimes New Romanにしていました.文字サイズについて,10.5ptにフォントを設定するとたくさん書けますが読みにくいような気がして,12ptでは内容をほとんど書けなかったため,11ptにしました.ただし,10.5ptでもいいよ,という人もいるので,実際に書いた後に印刷してみて見た目を自分で確認してみることをお勧めします.

2参考にしたサイト,書籍など

箇条書きで書くと

  • 研究室の先輩方で学振に採用された方の申請書
  • 研究室の先生方の科研費書類
  • 大上雅史,2016『学振申請書の書き方とコツ DC/PD獲得を目指す若者へ』講談社.
  • ネット上で公開されている申請書
  • ネット上のアドバイス,スライド集(上でもあげた大上さんのスライドがわかりやすいです.)
  • 学内説明会などでの資料

などが参考になりました.1番参考になるのは自分の分野の先輩の申請書だと思います.書き方やレイアウトなども含めて最初はとりあえず真似ながら埋めてみることです.また,研究室の先生の科研費の申請書類なども見せてもらえるなら見せてもらいましょう.先生方は書き方を知っているので,説得的な文章の書き方がわかると思います.特に大胆な書きっぷりなどはかなり参考になりました.書籍の大上(2016)は学振の申請書に関する書き方を細やかに記しており,書き上げてからの校正などでも大変重宝します,東北大では図書館に入っていました.さらに,ネット上では有志の先輩方が申請書をあげてくださっています.僕は社会学なので当時東京大学の麦山亮太さんの申請書が大変役に立ちました.また,他にも申請書作成のための様々なスライドや申請書が上がっています.これらには学内限定などもあるので,情報収集をくまなく行い,申請書を書き上げてください.東北大では過去何年か分の申請書を学内の事務室で閲覧できるはずです.最後になりますが,公開してくださった先輩の方々,ありがとうございました.

[20200928追記]リスクの観点から申請書は公開していませんが,もし申請予定の方で私の申請書をご覧になりたい方はメールにて問い合わせいただければと思います.すみませんが,お送りするのは申請予定の方に限らせていただきます.

 

総務省統計データ分析コンペティションにて特別賞を受賞しました

総務省の行っている統計データ分析コンペティションにて,「潜在患者数に対する医師偏在の可視化」という論文(三浦萌実さんとの共著)で特別賞を受賞することができました

統計データコンペティションとは,以下のようなものです.以下,総務省のHPからの引用です.

「データサイエンス時代を迎え、統計リテラシーの向上と公的統計の利活用を推進し、我が国の次代を担う高校生、大学生等の統計データの利活用マインドと分析技術のかん養を図るため、教育用標準データセット(Standardized Statistical Data Set for Education: SSDSE)を広く一般に提供しています。

この教育用標準データセット(SSDSE)に基づいた統計分析のアイデアと技術を競うコンペティションを、総務省統計局、独立行政法人統計センター、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構統計数理研究所、及び一般財団法人日本統計協会の共催により開催します。」

公的データを使用した計量分析は初めてだったのですが,個票データとは違ったアプローチの仕方が新鮮で,とても勉強になりました.受賞論文はHP上に掲載されていますので,ご笑覧ください.

 

第61回日本教育心理学会大会(190916)

2019年9月に日本大学で行われました第61回日本教育心理学会大会にて,「虐待の連鎖 ー男女の違いに着目してー」というタイトルで発表を行いました.この発表は,虐待の世代間連鎖が日本にも起こりうるのかどうかを検討したものです.発表の際には多くの方からコメントをいただきました.ありがとうございました.以下が発表資料になります.

ポスター

捕捉資料

 

第71回日本教育社会学会大会(190912)

9/12-13に大正大学で開催されています,第71回教育社会学会大会1日目の子ども・教育問題部会にて「誰がいじめ,誰がいじめられるのか」というテーマで発表を行いました.多くの方にお越しいただき,有意義なコメントを多数いただきました.ありがとうございました.報告資料は以下の通りとなります.

発表資料

第68回数理社会学会大会(190830)

20198月に行われた第68回数理社会学会大会にて,「学校外教育の効果ーー高校段階への着目ーー」というタイトルでポスター発表を行いました.この発表では,高等教育が大衆化した現代において,学校外教育がよりよい学歴を得ることを促進させているのかを検討したものです.発表の際には多くの方からのコメントをいただきました.ありがとうございました.発表資料は以下の通りです.

ポスター

『社会学年報』に論文が掲載されました

『社会学年報』第47巻に論文『高校進学における学校外教育の効果――低階層の子どもたちの教育達成――』が掲載されました.この論文は2017年に東北大学文学部に提出した卒業論文に大幅な加筆修正を加えたものです.執筆の際は,指導教官の永吉希久子先生をはじめ,行動科学研究室の佐藤嘉倫先生,木村邦博先生,浜田宏先生には有意義なコメントを多数いただきました.特に永吉先生には論文が掲載されるまで,査読コメントの方針等にも丁寧なアドバイスをいただきました.この場を借りて御礼申し上げます.本当にありがとうございました.本文はこちらからご覧になれます.興味のある方はご笑覧下さい.

要約

本稿の目的は,学校外教育が出身階層の低い子どもたちの高校進学に与える効果を検証することにある.高校進学段階での教育達成に関する多くの先行研究では,進学校に進学したか否かで学校外教育の効果を測っているが,進学校以外の高校に進学するということも含めた教育達成は等閑視されている.また,教育における効果はどのサンプルでも一定であるという仮定をおき,個人の性格などの観察されない異質性も考慮しておらず,学校外教育の効果を十分に検討しているとはいえない.そこで本稿ではこれらの課題を克服するため,傾向スコアを用いて反実仮想的な状況を作り出し,進学校以外の高校(中堅校・進路多様校)への進学も含めた高校進学における学校外教育の効果を検証した.結果,通塾経験は進路多様校から進学校・中堅校への進学を促進させており,特に中堅校進学では親学歴の不利を埋めていた.また,親学歴が低い男性が家庭教師や通信教育を経験することで,進路多様校より進学校に進学しやすいことが示された.他方,女性では家庭教師経験や通信教育経験は親学歴の不利を埋める効果を確認することはできなかった.これらの結果により,学校外教育を経験することで進学率の高い学校に進学できる可能性が高まると部分的にいえる一方で,男女によって学校外教育の効果が異なることや学校外教育の種類によって学力を底上げされる層が違うことも示唆された.

Key Words】教育達成,学校外教育,傾向スコア