修論を執筆して(文系学生の場合)

約2年前(2019年1月)になりますが,修士論文を提出し,無事に修士(文学)の学位を取ることができました.

執筆前や執筆中に,先輩方のblogやTwitterを読むことが多く,参考になったので,自分も書き示しておきます.方法論的な話ではなく,かといって精神論でもなくあくまで体験談ですので,気楽に読んで下さい.

テーマ選び

僕が修士論文のテーマを決定したのはM2になってからでした.遅いですよね,多分めちゃくちゃ遅いと思います.遅いのには理由があって,当時の僕は,自分の研究テーマ(卒論から派生したテーマ)と,興味があるテーマの2つを研究していました.

前者は文化資本をどう身体化していくのかということに関してで,これが結構詰まってしまいました.M1の1年間,授業とバイトの合間に研究はしていたのですが,どうも変数社会学的な話にしか着地せず,また既存の研究のどの穴をつくのか,が曖昧で,結構やばい感じでした(それでもM1冬休み課題の修士論文計画書は文化資本の研究で書き上げました).

暗雲立ちこめていたので,M1終わりに少々これまでの研究を色々見直し,どうもサブテーマでやった方がいいのではないか,と考えるようになり,指導教員にOKをもらい,テーマを変更しました.これが多分3月くらいだったと思います.

今思い返せば,卒論も7月くらいにテーマを変えたマンだったので,当初の興味・関心とは違うことを卒論・修論ともにやっていることになります.そしてどうにかこうにか書き切ることができたので,やはり研究のテーマ探しというか,常にアンテナを張っておくのは重要だと今になって思います.もちろんやりたかった研究をやり通すことは大事だし,すごいことだと思いますが,もし詰まっていたら,特にM1の皆さんは少し周りを見渡して,興味がある別のテーマがあればそちらに移ってもいいのかもしれません.修士だと特に四六時中研究を(少しは)考えていると思うので,研究がうまくいかないと焦ってくるし,メンタル的にもよくないと思います.だから,そんなときは思い切って変えてみるのも手です.

一方で,遅くに変えれば変えるほどその後頑張らなければなりません.M1から同じテーマをやってる人とは研究時間が圧倒的に少ないからです.僕もM1終わりにテーマは変えたのはいいですが,それまでサブテーマでやっていたため,色々調べたりするのに時間がかかり,学振DC1は何をやりたいか曖昧なまま出してしまいました(学振については別に書いています).

レビューと分析

テーマも固まったら,レビューと分析の日々です.幸いサブテーマで進めていたため,それなりに先行研究はためていましたが,それでも少なかったので,ひたすら探して読みました.関連する最新の論文を探して,引用されてるものを辿っていく,いわゆる芋づる式に読んでいきました.日本におけるいじめ研究は査読付論文と同じかそれ以上に大学の紀要論文が多いように思います.多分私の引用文献の1/3は紀要論文が占めていると思います.いじめ研究は査読付と同じくらい紀要論文も多いです.そのためよく吟味した上で引用文献を付け加えていました.

文献集めで重宝したのはMendeley+Good Noteです.書き込んで読みたい+紙を多く持ち出したくない,ということで学部卒業+修士の合格入学祝いにiPad Pro 12.9インチにアプリを入れてパソコンと同期させて読んでいました.SONYの電子ペーパーもよさげなのですが,他にブラウザで使用したり,プライベートでは動画を観たりもしたかったので僕はiPadにしました.論文管理ソフトや管理方法も人によって様々ですので,色んな人の記事を参考にしたらいいと思います.

また,それと同時に学会発表の予定を入れながら,分析を進めていきました.分析の大枠が決まったのは前期の大学院ゼミ後なので,6−7月だったと思います.そこでようやく,「あ,これは面白くなりそう」という手応えを感じてきました.データを手に入れて方向が見えたら学会報告のスケジュールは早めに入れた方がいいと思います,締め切りがあるとやらなきゃいけないと思うし,分析も進みます.また,博士への進学を考えている人は業績があった方が学振や様々な助成金の申請などで有利ですし,ネットワークも広がるので,できるだけ学会報告をしましょう.ただし文系の場合,学会の入会費・年会費・参加費を合わせた総額は高めなので,闇雲に発表申し込みをしすぎるとお財布が厳しくなってしまいます,そのあたりはこれだと思う学会で発表したらよいと思います.

分析について,データはOECDが実施しているPISA調査の2015年のものを用いました.データは公開されており,すぐに入手できたのは大きかったと思います.モデルについては海外の先行研究を参考にモデルを作成しました.ただし,院ゼミや学会発表にてモデルに投入している変数の操作化の不備を指摘されてたのでその都度適宜修正し,モデルの作成と分析自体は夏休み終わりくらいには終わらせました.

執筆

執筆は8月終わりから始めました.ただし,学会発表のための分析などを行っていたのでゆっくり書いている感じでした.しかし9月終わりに再会した同期に「ほぼ書き終わったよ」と発破をかけられ,そこから猛スピードで書き上げました.学会発表を行っていてある程度のシナリオは見えていたのですが,やはり実際文字に文章にするのは難しく10月下旬にようやく初稿を書き上げました.執筆の際に先輩の修論などはとても参考になりました.また,指導教員の先生は「書き上げた章から持ってきていいよ!」派だったので,ゴールが短く,環境面ではとても恵まれていたと思います.11月初めに初稿を提出し,そこからひたすら先生方の添削を受けました.指導教員と2-3回やりとりした後に他の先生方にも送りみてもらい,多くのコメントをもらい,また修正,を繰り返していました.最終稿を作ったのは年末ギリギリでした.また,修論を執筆する上で新たな疑問やこれからの課題が浮かび上がり,博士ではどういうことをやるかが明確になったように思います.

まとめ

ざっくりと,思い出したことを思い出したままに書いてみました.修論を書いていると精神的に辛くなってしまいますが,時にはアニメを観たり音楽を聴きながら進めていました(修論書けなくても死ぬわけじゃない,と言い聞かせたりしていました).また,進んだな〜と思ったら(修正をするためにも)1日おいてその間に日帰り温泉に出かけたりしました.執筆期間中は生活リズムがぐちゃぐちゃになりがちですができるだけいつも通りの生活を崩さずに書き上げることを目標にしていました.もしこれをたまたま寝る前に見つけた後輩の皆さんがおられたら,無理はせずに,しかし満足のいく物を書き上げられることを祈っています.ちゃんと寝ましょう!