毎年この時期に思い出す言葉

毎年この時期に思い出すのは,報道ステーションキャスターを務めておられた古館キャスターが2016年3月31 日の最終回番組冒頭で述べていた言葉です.うろ覚えですが,以下のようなものだったと思います.

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東京の夜を桜が染めています.今日は満開となりました.東京の都心です.

詩人の故・長田弘さんの詩集『奇跡 —ミラクル—』の中にこんな一節があります.

 

ただここに在るだけで,

じぶんののすべてを,そこなうことなく,

誇ることなく,みずから

みごとに生きられるということの,

なんという,花の木たちの奇跡.

きみはまず風景を慈しめよ.

すべては,それからだ.

 

綺麗ですねえ,もうこれ以上の言葉はありませんね.

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というものです.なんてことはないコメントかもしれませんが,言葉にならないというか,どれだけ言葉を用いても語りつくせない息をのむ桜の美しさに心を奪われたことを今でも覚えています.

それと同時に,詩の内容に心を惹かれ,本も買い,毎年この時期に読み返しています.

忙しい時期ですが,風景を慈しむ余裕を持てるような生活をしたい,と研究のかたわら思っています.

引用文献:長田弘,2013,『奇跡 ーミラクルー』みすず書房.